
2025年12月期業績レビュー:
変革するトレードワークス
2025年12月期の取り組みと成果について教えてください。
売上高は連続して過去最高額を更新。
収益性改善の施策が結実し
営業利益や当期純利益も全て黒字化。
2025年12月期は、売上高50億5,200万円(24年12月期比+10.0%)となり、2024年12月期に続き過去最高額を更新しました。利益面は、売上高の伸長やDX推進によって収益性が大幅に改善し、営業利益2億5,900万円、経常利益2億5,800万円、親会社株主に帰属する当期純利益5,600万円となり、いずれも黒字に転換しました。
営業利益率は5.1%となり、前期から大きく改善しています。本業の収益力向上が着実に進んだ一年であったと考えています。
期中の外部環境は、まず海外市場では米国市場(SEC)で計画されていた株式取引の呼び値の縮小が2026年内の実施に延期されました。これに伴い当社が2025年12月期内に計画していた案件も先送りとなり期中の売上高予想を下回る結果となりました。先送りになった対応は制度施行のタイミングで着実に収益化が期待されます。国内市場は、個人口座を狙った不正アクセスと不正取引が急増し、証券会社各社にてセキュリティ強化の需要が急増しました。そのような状況の中で、当社はパスキーや電話による認証を必須化できる多要素認証基盤サービス「SpotPath」の開発と提供を急ぎ、その結果、当社の資本提携先である岩井コスモ証券が国内証券業界で初となる多要素認証基盤を導入することとなりました。
これを実績の1つとして、当社は引き続きセキュアなシステムの提供と変化やリスクへの迅速なフォローを行い、お客さまである証券会社各社と、その先にいる投資家の皆さまの安全な取引環境の確立に貢献してまいります。
内部環境は、事業と顧客ポートフォリオの最適化を推進しました。業績への影響では、2022年度にスタートした中期経営計画の中で進めてきたM&A戦略を見直し、保有株式の売却損を特別損失として計上しました。これにより2025年12月期の最終利益は減少しましたが、本業の営業利益は改善しており、一過性要因を除けば収益体質は強化されており、2026年12月期以降に向けた成長基盤を財務面から強化できたと考えています。
2026年12月期の重点施策について教えてください。
国内外の新たなパートナー企業と提携し
証券IT分野の強みを生かす
当社事業の領域展開を加速する。
2026年12月期は、売上高57億円(前期比12.8%増)、営業利益4億8,000万円(同84.8%増)、経常利益4億8,000万円(同85.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益3億円(同425.4%増)を計画しています。
業績の成長ドライバーとして、まず海外展開は2025年12月期に業務提携を結んだ米国Alpacaとの連携により当社システムの海外での提供に取り組んでいきます。Alpacaはすでに約40カ国でAPI ベースの証券取引インフラ事業を展開しています。彼らが持つ米国市場にアクセスできるインターフェースと、私たちが持つ投資家向けの米国株などの証券 取引システムサービスを組み合わせ、2026年夏頃をめどにまずはアジアでのサービス提供を計画しています。また、その先の展開として、アジア各国、中東諸国、さらにはアフリカ諸国での事業展開も見据えて、グローバル規模の米国企業や米国市場の上場企業への投資需要活性化に貢献してまいります。
私は国内証券会社の経営および立ち上げに関わってきた経験から、日本のネット証券は、コスト、機能、サービス面で世界最高峰だと考えています。その長所は海外においても十分に再現可能でありまた適用すると自信を持っています。日本で鍛えられてきたオンライン取引の仕組みとネット証券という業種を世界展開する機会にもなると思っています。
国内は、2025年12月期に新たに東海東京ホールディングスと資本業務提携を結びました。
東海東京ホールディングスは、中部地域を地場とする対面総合証券として業界内で高く評価されているのに加え、地方銀行と組んだ事業展開や、富裕層のお客さま向けブランド「Orque d'or(オルクドール)」を展開しています。
私たちは、AIやブロックチェーン技術によってこのサービスのデジタル化を推進します。また、東海東京ホールディングスが持つ地方銀行ネットワーク向けのサービス提供と、それらを通じた地域創生と地方の投資インフラ構築の一翼を担うプラットフォーマーの役割を果たし、その実績と知見を横展開していきます。

今後の中期的な展望を教えてください。
次期中期経営計画を見据えて
さらなる成長の実現に向けた
経営基盤と体制の整備を進める。
2026年12月期は、2022年度にスタートした中期経営計画の最終年度です。計画内容については、私が当社社長に着任した2024年7月から新規事業の創出やM&Aを通じた成長戦略の見直しを進め、IT分野の知見を基盤とする事業の質の向上や、利益率改善を重要な経営指標とする収益力の強化へと舵を切ってきました。その結果、2025年12月期の売上高は当初の計画に近い数値を発表することができました。
2026年12月期は、期中に公表予定の次期中期経営計画を見据えた準備の1年と位置付け、利益率に重点を置いた成長と収益性向上の両立と、単なる合理化や効率化にとどまらないAI活用によって開発や運用の高度化を進めていきます。また、次期中期経営計画では、国内外の機関投資家からさらに注目される企業を目指し、当社のガバナンス体制の在り方について、プライム市場を見据えた体制整備や指名委員会等設置会社といった機関設計の選択肢も視野に入れながら、 要件整理および体制整備の観点から検討を進めてまいります。
株主還元方針と、株主さま、投資家さまへのメッセージをお願いします。
市場での認知向上を図るとともに
安定した株主還元施策を通じて
当社株式を保有する魅力をさらに周知する。
当社は証券会社各社と資本業務提携を結ぶ一方で、多くの個人投資家の皆さまにも支えられています。そのため、株主さまへの利益還元を重要な経営課題と位置付け、IR活動やメディア出演を通じた当社の認知度向上や、安定的な配当金の支払いと保有株式数に応じた株主優待制度「トレードワークス・プレミアム優待倶楽部」によって感謝の意を示すとともに、当社株式に投資し中長期保有する魅力を高める施策を行っています。
株価対策では、2025年12月期は、9月30日を基準日として1株につき10株の割合で株式分割を実施しました。この分割によって、より多くの投資家さまが少額から当社株式を保有できる環境を整えました。分割後ベースで比較すると、2024年12月30日の終値136.9円に対し、2025年12月30日の終値は462円となり、約3.4倍に上昇しました。分割補正後で上場来高値を更新する水準まで伸長しており、これは株主さまからの評価と期待の表れであると受け止めています。
社内においては、私は個人投資家として、毎月、継続して社内の持株制度が定める上限額まで当社の株式を購入しています。最近は従業員の中でも持株制度を活用して当社の株式を購入する方が増え、当社のさらなる成長への自信が社内に広く浸透していると感じています。
今後も企業価値の最大化に邁進し、業績と株主還元の両面で株主さま、投資家さまの期待に応えてまいります。引き続きご支援賜りますよう、よろしくお願いいたします。


齋藤社長になんでもQ&A
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2025年4月にリリースした「GPT-Trade」の評判を教えてください。
GPT-Tradeは、当社グループのトレードアドバイザリーテクノロジーズが提供している投資助言サービスです。
海外と比べて日本は投資情報に課金する文化が薄く、投資助言サービスの事業化はチャレンジングといわれます。一方で、個人投資家の中では手持ちの資金の運用や持ち株の売買のタイミングなどについての助言を求める声が根強く、そのニーズにAIが応えるサービスはこれから広く浸透し、活用されていくと考えています。
今後は当社と提携関係にある証券会社を中心にソリューションとして提供することも検討しています。従来、投資家からの相談は対面証券会社に集中していましたが、このサービスを実装することでネット証券会社も相談の需要を獲得でき、サービスの拡充によって顧客のアップセルやクロスセルが可能になります。一方の対面証券会社からの関心も高く、投資家からの相談に応える営業担当者の支援ツールとしてこのシステムを活用したいという声を多く受けています。 -
グローバル展開の方針を教えてください。
米国市場の取引時間は2026年後半をめどに大幅に延長される予定です。営業日であればほぼ1日中にわたって取引が可能になることで、日本はもちろん、アジア、欧州、中東、アフリカなどの投資家さまが米国株を簡単に売買できるようになります。また、米ドルは世界の基軸通貨であり、米国株は1ドルから売買できるなど、こうした特徴も米国株取引の活性化を後押しします。
当社はこの大きな変化に積極的に関わり、米国以外の国での需要増大を想定して取引システムの拡販を行っていきます。米国Alpacaとの連携はそのための第一歩で、2026年はまずはアジアでのシステム導入を進めていきます。
金融業は各国の規制などにより国境を越えた事業進出が難しいのですが、私たちが扱っているシステムの分野はそのハードルが低いといえます。グローバル展開は当社の新たな事業機会であり、当社のシステムやサービスが世界で受け入られるかどうかを見る大きなチャレンジです。 -
2025年12月期に株価(時価総額)が大きく伸長しました。
その先の目標を教えてください。
株価は業績や戦略への評価であると同時に、投資家さまからの期待でもあると考えています。
2025年9月30日を基準日として1株につき10株の株式分割を実施しましたが、分割後ベースで比較すると、2024年12月30日の終値136.9円に対し、2025年12月30日の終値は462円となり、約3.4倍に上昇しました。株価上昇は期待が膨らんでいることの表れであるため、まずは2026年12月期の施策を着実に実行し、期待に実績で応えていきます。
その先の目標は、次期中期経営計画の中で市場変更なども検討しながら、国内外の機関投資家さまからも優良な投資対象と評価される企業を目指したいと考えています。そのために、時価総額のさらなる増加や流動性の向上も視野に入れた施策も検討していきます。
現状、当社はPERやPBRなどの株価指標で高い評価をいただいていますが、機関投資家は資本の活用の良し悪しを見ます。特に海外の機関投資家はその傾向が強く、ROE(自己資本利益率)の向上が重要な指標の1つとなります。従来、当社は財務の立て直しや個人投資家さまへの利益還元に重点を置いた経営を行ってきましたが、それらを今後も継続していくとともに、利益の効果的な使い方も戦略的に考えていく必要があります。 -
ロゴの色が変わりました。その理由を教えてください。
当社は従来、赤と黒のロゴでしたが、2025年12月期中に、赤、青、緑、オレンジにしました。これらの色は、当社の大切なお客さまやパートナーである証券会社・金融機関のロゴカラーをモチーフとしています。私たちは「自社の色」を主張するのではなく、「お客さまの色に染まる」存在でありたいと思っています。
それぞれの戦略やビジネスモデルに寄り添い、最適なシステム・サービスを提供するという決意を、この4色に込めています。また、「W」は「Works」の頭文字ですが、この色を青にすることで「World」を想起してもらい、青い海を越えてグローバル展開していく当社の世界観を表現しました。




